東京高等裁判所 昭和56年(う)779号 判決
被告人 ジャック・クラウス・スタム
〔抄 録〕
大麻すなわち大麻草はカンナビス・サテイバ・エルの一属一種であると解すべきことは前段説示のとおりであり、かつ、大麻取締法一条の規定の仕方や立法の経緯、更には同法がカンナビス属植物の含有するテトラヒドロカンナビノール(THC)の心身に対する薬理作用に着目して規制がなされているものであることも考え合わせれば、同法がカンナビス属にサテイバ・エル以外の種があることを前提としたうえで、それを規制の対象から除外する趣旨で立法されたものとは到底解することができないとする原判決の判断は正当というべきであるから、したがって、大麻すなわち大麻草(カンナビス・サテイバ・エル)の定義が不明確であって犯罪構成要件が明確を欠いており、原判決が大麻取締法一条を適用したのが罪刑法定主義を定めた憲法三一条に違反する旨の主張の失当であることも明らかである。
(四ツ谷 高橋 仙波)